
あ〜く雑記 & 編集後記
2018年04月04日
3/7の夕刻、思いもよらぬ出来事が起こりました。それは、隣家の全焼火事!
最初に発見したのは妻でした。2Fからふと窓に目をやると、東側の隣家から人の高さを越える火が・・・。素足のまま、急いで隣家に知らせに飛び出して行きました。実際には慌ててどうにも靴が履けなかったのです。隣人は玄関で呆然と立ち尽くしていたそうです。「危ないから逃げて!」
妻はそこで我に返り、急いでこちらに戻り「隣が火事ッ!」。その時初めて私は火事のことを知ったのでした。私も飛び出して確認すると、もはや尋常ではない事態。「119番に電話ッ!」と叫んでいました。
その時1Fではお二人のお客様が光を浴びている最中でした。奥の部屋ではM下さんが全身コースも終盤に差し掛かったところ。急いでお二人に緊急事態を伝え、速やかにお帰りいただきました。M下さんは紙ショーツ1枚の状態でしたから、さぞかしびっくりしたことと思います。もう一人のY木さんも、駐車場を離れる際にガラスが割れる「パーン」という乾いた破裂音を何度も耳にし、震えが止まらなかったそう。帰る途中何台もの消防車にすれ違い、これは大変なことになっていると恐ろしくなったとのことでした。後に知りましたが、当日は何と消防車10台が集結していたのです。
「家が燃えちゃうので早く来てくださいッ!」(妻)「場所はどちらですか?」(消防署)「西区志都呂町1433(当サロン住所)です。」(妻)「そちらが出火元ですか?」(消防署)「いえ、隣です。」(妻)「隣はどちら側ですか?」(消防署)「東隣です。」(妻)などのやりとりがあった後、「危険ですので、戸締りを確認のうえ貴重品を持って速やかに家の外に避難してください。」(消防署)の指示があったそうです。
お客様を帰した後、妻に「お袋を頼む!」と伝えて、まずは自分たちの車をお客様駐車場に移動し、
その後は火に向ってバケツで水を掛け続けました。今思えばまったく無意味ですが、その時は何もせずに消防車の到着を待つ気持ちにはなれませんでした。見かねてご近所のS原さんも加勢してくださいました。
また足の悪い母が妻の手を借りて避難している状態を見て、見ず知らずの若者がおんぶしてくださいました。その思いやりの気持ちが嬉しく、ただただ感謝です。その一方で野次馬の中にはスマホで動画を録っていると思われる輩もいて、こういう時に人としての品性が見える気がしました。本当に、人間いろいろです。
当日は東風7mの強風で、今にも燃え移ってしまいそうで心配でたまりませんでした。妻の通報を後
日発信履歴で確認すると18時27分(ほぼ同時刻の第二報でした)、消防車が到着する迄の約15分間は「お願いだから早く来てくれ!」 祈るような気持ちでした。
消防車が到着してからの1時間もなかなか火の勢いは衰えず、気が気ではありません。到着後から当サロンにも放水し続けてくれたおかげで何とか類焼を免れ、2時間半後にやっと鎮火となりました。「隊長さんをはじめ消防士の皆さんのおかげで類焼を免れ、家を残すことができました。本当にありがとうございます!」
Y木さんもM下さんもずっと火災情報をチェックしてくださっていました。なかなか「鎮火」が出ないのでY木さんは直接電話を掛けてきてくださったほどです。無事を知って「よかったぁ! これで安心して眠れる!」と言ってくださいました。その他にも、S平さん、K野さん、N目さんからも心配のメールや電話をいただき、心より感謝いたします。
その日は深夜になっても時折火の粉が風に舞うのが見えて心配で一睡もできませんでしたが、現場には消防士と警察官が夜通し警戒にあたってくれていたので心強かったです。
翌朝外に出て周囲を確認すると、通路のコンクリート部分は黒焦げた木片や瓦などで埋め尽くされていました。部分的には約1000度の熱が加わっていたそうで、外壁や窓ガラスがよくぞ耐えてくれたと工務店さんにも感謝です。ただまったく無傷というわけにはいかず、雨樋の一部が溶けたり、TVアンテナやエアコンスリムダクトが変形したり、バルコニーやウッドデッキが変色したり等々ありましたが、何はともあれお客様にけがはなく、私たち家族も無事で、この程度で済んでくれたのは不幸中の幸い、いや奇跡かもしれません。
そうは思うものの、何かやり切れない気持ちをずっと抱えていましたが、1週間後の実況検分で立ち
会ってくださった消防署の隊長さんから「先日はありがとうございました。隣家の施主様から『皆さんのおかげで類焼せずに家を残すことができました。』とお礼を受けたと伝えたところ、隊員一同自分たちの活動がお役に立てたことに感動していました。」とのことでした。もやもやしていた気持ちがすーと晴れていくような思いでした。
今回のことで学ぶこともいくつかありました。もしもの時に消火器となると実際に使えるかどうか自信がありませんよね。現在は手軽なスプレータイプのものもあり、これでも十分に初期消火に対応できるとのこと。早速ホームセンターで買い求めました。
「貴重品を持って避難してください。」という指示でしたが、貴重品をすぐに持ち出せるような準備はできていませんでした。数日間大丈夫なように防災グッズは用意してありましたが・・・。もし家が焼けてしまっていたら何もかも失っていたことになり、考えただけで空恐ろしくなります。その後家族で話し合い、「銀行印」、活きている「銀行通帳」、手持ちの「現金」、仏壇は仕方ないのでせめて「位牌」、お預かりしたお客様の情報を管理している「USBメモリー」だけは最低限持ち出そうと決めました。それ以外のものは想い出の品もお気に入りの品もすべてあきらめなければならないと思うと切ないものがあります。
でも何よりも、家族団欒で食事をしたり、暖かい布団で安心して眠れるという「ごく当たり前の生活」がどんなにかけがえのないものなのかを心に深く感じる出来事になりました。「平穏無事」 何事もない平凡な日々に感謝です。
by Mr.ケンタッキー